堤 康央 Tsutsumi Yasuo
長野 一也 Nagano Kazuya
(応用環境生物学分野)
辻野 博文 Tsujino Hirofumi
(総合学術博物館)
原田 和生 Harada Kazuo
(医学系研究科)
東阪 和馬 Higashisaka Kazuma
(医学系研究科)
研究内容
Research
ヒトの健康確保を目指した薬学において、『毒性学:Toxicology and Safety Science』は、従来までの医薬品はもとより、遺伝子や蛋白質、細胞などを有効活用したバイオ医薬や、ナノテクノロジーを駆使したナノ医薬といった最先端医薬に加え、医薬部外品・化粧品・食品、さらには環境(生態系)への安全性をも考究し、『安全・安心な健康環境を確立する』こと、またそのための人材育成と輩出を目指した学問です。そのため社会は、安全科学とも言うべき、薬学における『毒性学』に対し、①安全性評価の視点で、マイクロプラスチックなどの環境中の種々化学物質や、昨今の最先端医薬としてのワクチン・抗体やナノメディシンによって引き起こされる有害事象(毒性発現メカニズム)を解明することや、②安全な医薬品・化粧品・食品の開発を科学的に支援するなど、安全確保と共に、リスクコミュニケーションやリスクリテラシーによる安心確保とその社会受容を促進すること、③意図的あるいは非意図的な曝露を避け得ないものに関しては、ヒトの健康や環境(生態/生体系)への影響を評価し、科学的根拠に基づいて安全性を確保すること、④薬害・公害などに対しては、有効な解毒法・治療法・回避法を開発、あるいは支援することを期待しています。昨今の薬・食・環境に対する不安の増大や新興・再興感染症の地球規模での蔓延、そして健康への関心の高まりも相俟って、21世紀テクノロジー産物には、安全・安心であることがこれまで以上に強く求められ、『毒性学』への期待は益々加速しています。以上の観点から毒性学分野では、ナノマテリアルをはじめとした、化学物質の安全性評価研究(曝露実態・動態評価、ハザード評価)、および、安全性確保に資する基盤技術の開発等を推進しています。また本研究の過程で、遺伝子工学や蛋白質/抗体工学、オミクス解析等の分析化学の手法を駆使し、環境中に存在している種々化学物質の毒性発現(疾患の発症・悪化)メカニズムの探求や生体が本来兼ね備えている生体防御機構の追究、その解毒法(治療法、治療薬)の開発にも取り組んでいます。
我々の研究プロジェクトは、毒性学のみならず、動態学、分析化学、物理化学、生化学、免疫学等の多様な学問の学際領域に位置するものです。本分野では、この学際領域における広範囲な知識を駆使した創意工夫に基づく研究姿勢を身につける場を提供し、様々な観点から独立した研究を遂行できる研究者の養成を目的としています。毒性学分野一同、本分野に興味のある学生諸君の研究室見学を歓迎します。
<研究課題>
1. 生殖発生毒性および発達毒性などに関するNano-Safety Science(ナノ安全科学)研究
2. 動態解析とその制御に係るNano-Safety Design(ナノ最適デザイン)研究
3. 悪性腫瘍などの分子病態の解明に係る基盤技術開発と創薬展開
4. マイクロプラスチックの遺伝毒性、がん原性、免疫毒性などの追求と解毒法開発